『続 法隆寺は移築された』より

 法隆寺移築説(1989年)を唱えてまる12年が経つ。建築史学会の重鎮には当然読んでいただいたが、極端な内容であるためか、まともな反応は貰えずにいる。奈良の薬師寺の工事事務所に西岡常一氏を訪ね、解体修理工事の時の話を聞けたのは幸いだった。めずらしい人に会うからと、その場に今の建築学会長の仙田 満 氏を誘ったことが思い出となった。そのためか、細かな部分の質問には丁寧に答えてもらったが、移築を示す内容は何もないの一点張りであった。しばらくして、移築を認める内容の手紙をいただいたのはその償いかも知れない。その後、太田博太郎氏のご教示で解体修理工事の責任者であった浅野 清 氏に会って話を聞いた。前もって送っておいた本を読んでくれていることは、質問に対する答えから分かったが、まだ読んでいないと言い続けられた。肝心の話は西岡氏と同じで、移築を示す内容は何もないの一点張りであったのは正直に言って驚きであった。


既に「移築説」論争の決着はついているのです。